ブランディングとユーザー

時代の流れやトレンドによる顧客ニーズの変化、また競合品・代替品の出現など刻々と変わる状況に対応するためブランドも新陳代謝を繰り返す。しかしそのどの場面においても焦点は『顧客の頭の中に形成されるイメージ』に合わせられており、時を経て蓄積されたそれら無形資産が消失・分散されることのないよう、注意深く計画・管理される。
 
ユーザーは様々な機会やメディア等を通じ商品情報と接触し、また店頭で目にし手に取り、実際に利用することでその品質を体感する。これら一連の中にユーザーの期待を裏切らない満足(価値)がある時、その商品はユーザーエクスペリエンス(新鮮で快適な良い体験)をもたらす商品として記憶され、さらなる注意が向けられるようになり情報収集と利用を繰り返すという循環が生まれる。
 
このように商品とユーザーの間にできた体験を伴う良い関係が、商品に対する共感や信頼を育てユーザーの顧客化が起こり、徐々に顧客の頭の中に『ブランドイメージ』という行動を決定する力を持つ『概念上の価値』が構築されていく。「ブランディングは精神的な構造を創り出すこと、消費者が意思決定を単純化できるように、製品・サービスについての知識を整理すること」とケビン・レーン・ケラーが言うように、 ターゲットの選定やポジショニングなどの重要性と同様、顧客の立場に立った誠実でわかりやすいコミュニケーションがブランドへの共感を育成する上で重要である。

 
 
 

ブランディングがもたらすもの

競合からの差異化:ブランドネームやロゴ意匠などで、他競合とは区別されて認識されるようになる。

選択意思決定の単純化・固定化:顧客の知識が整理されることで再び同じ物を選ぶようにな
る。ユーザーのロイヤル化:親しみや信頼が増大されることでブランド・ロイヤルティが形成される。


価格競争の回避:『顧客にとっての価値』が訴求され、提供品質を無視した価格競争に参加する必要が無くなる。
価格プレミアムの獲得:同じ品質・スペックの商品について、競合よりも高い価格で販売が可能になる。


プロモーションコストの削減:以上のことから販売促進の必要度を低下させることが可能になる。